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「拓哉っ!! それ、買いすぎじゃないの?!」
自転車のカゴだけでは足りず、左右両ハンドルにスーパーの袋をかけ、ふらふらとチャリを漕ぐ姿は、不良がやるとシュールそのものだ。
「そうか? むしろ足りねぇんじゃねぇか心配なんだけどな」
当たり前のように答える拓哉に、隆夫はやはり不良だとつくづく思う。
まるで買い物帰りの主婦のような状態だというのに、拓哉は拓哉なのだ。
「そもそも未成年なのに…」
私服の拓哉は、悪いが高校生にはみえない。
そんな容姿だからこそ、拓哉は酒の買い出し係になったわけだが。
「隆夫はアルコールの類はまったく飲んだことないのか?」
「家は親が厳しいから。まったく飲んだことないよ」
と、隆夫が返事をしたところで不死原の家に到着した。
「話は後だな。とりあえず入るぞ」
そう言って、チャイムすら鳴らすことなく拓哉がズカズカと中に入っていった。
「勝手知ったる他人の家…ってか」
そう呟いて、お邪魔します、と言って返事を待つことなく隆夫は中に入る。
「おっ、ようやくきたのかっ」
買ってきたらしい惣菜の類を電子レンジでチンしている浩介が、隆夫の姿を見るなり嬉しそうに笑った。
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