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「うわぁ、結構本格的なんだな」
浩介は、魔法使いが被りそうな三角の帽子と、黒いマントを身に付けている。
「酒もきたしケーキもきたし、そろそろ始めようか~♪」
「はいはい、まったく…」
楽しそうな不死原と、それに呆れてブツブツ文句を言っている田中も、やはり浩介と同じような格好をしていた。
リビングを見渡せば、カボチャのランタンがところどころに飾ってあり、不死原と田中の苦労が伺える。
「いや、まだ木村先輩と隆夫がこれ身に付けてないっ」
そう言って浩介は隆夫と拓哉に強引に帽子とマントを押し付けてきた。
「げっ…」
拓哉はそれを見て、思いっきりしかめっ面になる。
甘いマスクとそれに見合う甘い香水を身に付けている、不良でありながらいかにも軽い男の不死原ならまだしも、髪が黒くとも目付きの悪い不良らしい不良の拓哉では似合わない格好だろう。
「浩介、どうしてもしなきゃだめか?」
隆夫も、似合う似合わないの問題ではなく、嫌なものは嫌だった。
「当たり前だろ。俺だって嫌々こんな格好してんだから、お前らだけ免除なんて許さねぇし」
浩介ではなく田中がそう答え、無理やり隆夫の頭に帽子を乗せた。
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