ブキヨウ=我田引水

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─────────────────────── ─… 今日は快晴。 部屋の窓から見える入道雲。 そしてめちゃくちゃ蒸し暑い室内。 いつもならクーラーがついている筈の部屋だがクーラーの代わりに扇風機が一台置いてあり、少しでも涼しく見せようと扇風機には細い"スズランテープ"が巻き付かれていた。 それでも足りないかのように団扇で自分で扇ぐ主人公"実華"。 「…あちー。」 茶色の巻かれている長い毛が、ゆらりと揺れる。 キャミソールにショートパンツを着て胡座をかく実華の耳に耳障りのような廊下を走るような音が聞こえてきた。 ─バンッ 「なぁなぁ実華~!!!!」 ベッドで携帯を動かしていたら托斗が何の躊躇いもなく入ってきた。 托斗はさっきも説明したが"虎豹"という族の総長。 市で一、二を争う族だ。 「ノックぐらいしなよ!!それに托斗が昨日暴れたからエアコン使えなくて困ってるって言うのに!!!暑苦しいっ!!!!」 実華が托斗を殴るとヘラヘラした態度で座布団に座りはじめた。 「べっつに俺だけじゃねーって、実華も暴れただろー!」 確かに暴れた。 だけどエアコンを壊したのは托斗なんだ。 言っても流されるのがオチだけど、 「…で用件なんだよ」 実華は諦めて携帯を閉じ、托斗を見た。托斗は待ってましたかのように笑顔になると体を実華の方に向けた。 「酒買ってきて!!」 ─ブチッ!!! バキッバコンバンッ 実華は托斗を倒し、馬乗りに乗ると最後の一発を殴った。 「自分で買いにいけっ!!!」 気が済むまで殴り続けると実華の部屋の前を陸斗が通った。 「お前等…何やってんだ…?」 ボコボコにされた托斗の上に乗っかってる私を見てか、不信に思い、私の部屋に入ってきた。
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