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少年は悲しかったのです。
理由はわかりません。
ただ、世界の誰一人も自分の味方でないような、自分など消えてしまっても誰も悲しまないような、そんな気がしたのです。
誰も自分のことを、わかってくれない。自分は、ひとりぼっちなんだ。
そう思うと、少年の心は張り裂けそうになって、枕を涙で濡らすのです。
そんなとき少年は、こっそりと窓を開けて、夜空を眺めるのでした。
目にいっぱいだった涙は、目に星を写そうとして渇いていきます。
少年はふと、夜空の、星のないところを見上げて思いました。
僕の目には見えないけど、あの暗闇のどこかに地球と同じような星があって、そこに住んでいる誰かさんも、僕と同じ思いでいるかもしれない。
宇宙はとても広くて、存在する星の全てが地球から見えるわけではないことを少年は知っていましたし、運良く少年が見ることができた星の光でさえ、遠い遠い昔に放たれたものだということを、実感はできないけどわかっていました。
でも、ひょっとしたら自分と同じように、宇宙のどこかにいる誰かも、ひとりぼっちでさびしいと、泣きながら星空を見上げているかもしれない。
そう思うと少年の胸の中心あたりが、きゅうっとなって、
「僕は君のことを知ってるよ、君の悲しいこと、僕はわかるよ。
僕はここにいるよ、泣かないでいいんだよ」
と叫びたい気持ちでいっぱいになるのでした。
ですが、宇宙はとても広いのです。
少年の声が別の惑星の誰かに届くまでに、何万年かかることでしょう。
そして宇宙に比べると、私たちの地球はあまりにも小さいのです。
遠い遠い他の惑星の誰かが、泣きながら星空を見上げていても、そこから地球は見えていないでしょう。
ましてや、豆粒より小さい少年の姿などなおさらでしょう。
それでも少年は、星空の、なんにもない暗いところを見て思うのです。
「もし、僕の声が届いたなら、どうか返事をして。
何万年かかったって構わないよ。
君の声が聞こえたら、僕も返事をするから。
僕はここにいるよ、君はひとりじゃないよ。だから、泣かなくていいんだよ」
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