ーともだちー

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『泣くなよ』 頭をなでながら 優しく言う 「だっでぇ、だっでぇ」 『おまえも連絡くれなかったじゃんか』 「だって連絡とれないのが怖かったんだもん」 『なんじゃ、そりゃ』 「待ってたんだもん」 すっと、カウンターの下から、彼の手がのびて、私の手を握った 私は手を、ふりほどかなかった なぜだか安心した とつとつと どんな不合理な理由で彼が揉めたのか 話をしてくれた それから馬鹿話もして 気がつくと 閉店時間 手はずっとつないだまま 会計を済まし 地下のバーからでようと 手を繋ぎながら 彼が前に立って階段を上がっていくと 不意に 頭を引き寄せられて 唇を重ねられた 挨拶のキスなんかじゃない ディープキス 舌が私の唇に侵入してくる 抵抗しなかった できなかった 自分の舌を彼の舌に絡ませる まるで 猛獣みたいな キスをした
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