ーともだちー

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乱れた服を直して 落ちた携帯なんかを拾う 行為が終わった後って、なんだか間抜けだ でも、この間抜けな時間を、愛しいと思えたなら、そこには愛があると思う エレベーターに 乗ると ふわりと 彼は優しいキスをしてきた 目をつむって 受け止める さっきと同じ優しいキスだったのに 何故だか、悲しかった 『家まで送るよ』 「ごめん、いいや…一人で帰りたい…」 『そっか』 エレベーターを降りて 向き合う 「じゃあね」 『また連絡する』 「うん」 別々に歩き出そうとした 『智!俺、お前と友達でよかった』 私は 振り返らなかった 何も言えなかった 今胸の中にあるのは きっと、喪失感 ともだちを失ったという喪失感 ともだち同士で体を交えることもあってもいいと思う だけど さっきのセックスはともだちとするセックスじゃないよ お腹に手を当てながら 生理がきたら 悲しいんだろうな なんて思って その場を動けなかった 振り向いたら 彼は、まだいるのだろうか
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