藤田追憶【約束】

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担当医「最良ではないけど…保健所に行くしかなくなるだろうね。僕としても保健所のような施設よりは心を通わせれる人間がいる所に居たほうがいいと思う。」 藤田は考える動作をする。そして言う。 藤田「ということは、俺が引き取った場合は、さくみは俺の身内になるわけですよね?」 担当医「そうだね。実際彼女は君より年下だから義理の妹ってことになる。勿論手続きはこっちでするよ。」 藤田「……。」 藤田は再び考え込んだ。 担当医「無理強いははしないよ。ただ、君が引き取ってくれると助かるだけさ。」 藤田「…分かりましたよ。彼女はこちらで引き取ります。」 藤田は自分の心で【依頼の延長線上】だと理由付けをした。何故だか理由が必要だと思った。 その言葉を聞いて担当医は笑った。 担当医「ありがとう。こっちとしても嬉しいよ。じゃあ手続きはこっちで済ませるから。」 藤田「それじゃあ俺は行きますよ。」 担当医「その前に彼女の所に行ってくれないか?話したいことがあるようだから。」 藤田「話したいこと?」 担当医「行ったら分かるさ。」 担当医は意味深な笑みを浮かべる。 藤田「分かりましたよ。」 呆れながら診察室を出て行く。その足取りは最初よりも軽かった。
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