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そして藤田と紺野は電車を乗り継ぎ、田舎の方へ向かった。緑が視界の9割を占め、本当に静かな場所だった。
紺野「静かだね…。」
紺野は目を閉じる。風が吹く。紺野の長い黒髪がゆっくりと風に流れる。
藤田はその紺野の姿を見て自分から手を握る。
藤田「は、早く行こう。」
動揺し、顔を赤くしながら言った。
紺野「うんっ!」
紺野の笑顔が太陽に負けじと輝いていた。
数十分歩くと長い石の階段が現れた。その階段を2人で上る。長い石の階段を上り切ると、そこには木造の古い寺があった。
藤田「ここだ。静かだろ?」
紺野「うん…。なんかこの世界に私達だけしか居ないみたいだね…。」
藤田「そう…だな…。」
2人共目を閉じる。そこには風と木の声。鳥の声が木霊していた。
この小さな世界に2人だけ居た。
しかし、その夢も束の間に誰かが声を掛ける。
和尚「お~。浩次君じゃないか。久し振りだねぇ。」
彼はこの寺の和尚。もう60代だが、元気でパワフルな爺さんだ。
藤田「和尚か。」
和尚「ん?もしかして邪魔だったかの?いや、申し訳ない。」
和尚は無い髪をかき上げる。
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