藤田追憶【前章】

2/2
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/116ページ
そこは皆が住む世界とは別の世界。別の次元。その世界の中のニホンという国に藤田は住んでいた。 藤田浩次。母は他界し、父は行方不明。遺っているのは母の遺産と父の野太刀【鬼人刀】だけ。その中、学校にも行かずに父の仕事【依頼】を生業としていた。 業界では【なんでも屋】として知られていた藤田。施設のスパイや大物政治家の抹殺、ある特殊武器のモニタリングなど。血に塗られた【依頼】の全てをこなした。 依頼者も不特定多数。民間人からレジスタンスやゲリラ、社長、政治家など。血で血を洗うような仕事を続けた。 永遠に続く殺戮の世界の中心に彼はいた。大した感情も無く。喜怒哀楽を相手に出したことはほとんど無かった。彼は感情を知らなかった。…いや、忘れてしまった。 そんな彼が今回行った【依頼】の内容は…【施設の破壊、及び人員の抹殺】だった。 その【依頼】から、彼は大きく変わり、生まれることを彼は知るよしも無かった。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!