番外編「サクラ」

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男の部屋は、かなり広く必要以上に家具やら物が無かった。   出された珈琲はとても高そうなカップに注がれ、どれだけこの男が金持ちかを見せつけられた。   「まぁゆっくりくつろいで。」   男そう言って立ち上がると服を着替えに寝室に向かった。   残されたリビングは生活感がなく、どこか寂しげだった。   出された珈琲は甘く、優雅の好きな味だった。   男が部屋着に着替えて優雅の座るソファーに腰を下ろした。   黒のタートルネックにグレイのジーンズ。   先程のスーツ姿とはうって変わってカジュアルにその服を着こなしていた。   優雅はワイシャツを手渡された。   「ポチ君に合う大きさがなくてね。多分そのワイシャツでも部屋着なら行けそうだ。」   男はまた優雅の頭をくしゃくしゃと撫でた。   「…あんた。頭撫でるの癖なのか?」   優雅は頭の手をまた払いのけて問いかけた。   「不愉快?」   「かなりな。」   優雅はプイと顔を逸らした。   男は懲りずにまた頭を撫でる。   今度は優雅の逸らした頭を自分の肩に寄せて。
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