番外編「サクラ」

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「…離せよ。」   優雅は後ろから抱き込む男の腕から離れようとした。   しかし男の力は緩む事はなかった。   「…いくら「恋人ごっこ」だからって、俺はベタベタされるのは嫌いだ。ヤる時以外で触られるのは更にな。」   優雅は冷たく言い放ち、ため息をついた。   調子が狂うんだ。   こいつの腕がなんだか暖かくて―。   今までにこんな奴は居なかった。   俺を優先して考える奴なんて。   だから、俺はコイツが嫌いだ。   頭を撫でられる度に、感じた事のない気持ちになる。   言葉で言い表せない…胸が…。   優雅は無理矢理男の腕から逃げ出した。   男は少し呆れたように笑って、   「お風呂入ってきなよ。」   と、バスルームを指差した。   優雅は無表情で、男の指差すバスルームへ向かった。
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