80人が本棚に入れています
本棚に追加
久しぶりだった。
広いベッドを一人で占領する。
隣に見知らぬ人は当然いない。
窓から射し込まれた日差しも、目が覚めたばかりだが気持ちがいい。
優雅はくるまっていた布団に頬ずりをして、心地良く誘う睡魔に、もう一度体を預けようとしていた。
薄れゆく意識をはっきりと覚醒させたのは、寝室の扉を叩く、ノックの音だった。
「おはよう。ぐっすり寝れた??」
男は少し遠慮がちに、扉の隙間から顔を覗かせた。
あぁ…そっか。
あいつの家なのか…。
優雅はまだはっきりと思考が回らない頭でも、自分の立場を察した。
のそりと布団から顔を出した。
そして近づいてくる男を目で追いながら、誰も聞き取れないぐらいの声で
「おはよう。」
と言ってみた。
しかしあまりにも恥ずかしかったので―。
もう一度、布団の中に潜り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!