80人が本棚に入れています
本棚に追加
外は穏やかな陽射しが降り注ぐ。
春風が肌に心地よい。
優雅にとって17回目の誕生日を迎える事になる四月。
優雅が居着く「狗小屋」に季節なんて関係ない。
寧ろ汚い欲望が露わになる分、年中発情期と言っても過言ではない。
今日も生きる為に、自らが与える快楽をその腐った奴らに売っていた。
優雅が座る席は、カウンターの端で、盛り上がるホールを尻目に今日の「飼い主」を探していた。
まだ座ってから一時間も経っていないのに、何十人にも声を掛けられた。
優雅はその「狗小屋」では「姫」と拝められていて、全ての人が優雅を求めて「狗小屋」にやってくる。
なかなかいい奴がいない。
優雅は頬杖を尽きながら空になったカクテルグラスを見つめていた。
別に快楽を提供するのに罪悪感はない。
しかし躰は満たされても、心はどんどん渇いていく。
そしてその結果、また快楽を貪欲に求める。
ただ残るのは、嫌悪感だけ。
自分が大嫌いだ。
優雅は空になったグラスを指差し、バーテンダーに同じカクテルを作ってもらった。
その間にも、何人かに声を掛けられたが、今はそんな気分じゃないと無視をした。
最初のコメントを投稿しよう!