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「なぁ…名前なんて言うの??」
黙り込んだ優雅に男は優しく問いかけた。
優雅は横を向いたまま、ボソリと呟いた。
「…名前なんてねぇよ。あんたがこの三日間俺の「飼い主」だ。だから好きなように呼べばいい。」
男は「う~ん。」と考え込んだ。
夜景を眺める優雅は、
(あぁ~人選ミスだ。お金に釣られちまったせいでややこしい奴と過ごすことになったなぁ…。)
と、自分の選択に後悔した。
すると突然、男はいきなり笑顔になり、
「じゃぁ名前は「ポチ」だッ!!!」
と、突拍子も無いことを言い出した。
優雅はその言葉に驚きニコニコ笑っている男をみた。
「…………は?」
優雅は男の言葉をもう一度言うように催促した。
「だから、名前がないんだろう?そして自分の事を「狗」だと言う。だから君の名前はポチ。ポチ君だッ。」
優雅は深いため息をついた。
この男の頭は相当イカレてるらしい。
そして変な名前さえつけられた。
優雅は男を哀れむような冷ややかな目で
「…好きにしろよ。」
とまた深いため息をついた。
気分は最悪。
変な男に買われてしまった。
優雅は微笑む男に絶望した。
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