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何気なしに通した商品。 それは子供用のオムツだった。 普段なら取りに帰るまで何も言わない。 だけど俺の口から出てきた言葉は… 『持って帰ってもらっていいですよ。』 『へ?』 今だに必死に身体中を探す女性は何とも間の抜けた表情と声を出した。 『俺払っとくんで。』 『でも…』 『対した金額じゃないんで。』 しばらく悩んだ女性はご丁寧に名前と住所を書き残し走って行った。 別に何かを期待していたわけじゃない。 ただ、こんな夜中にオムツを買いに来るほど切羽詰まっているのだろう。 それだけの理由だった。
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