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少女はもう一本マッチに火をつけました。
すると、今度は大きなクリスマスツリーと、白いテーブルクロスのかけられた大きなテーブルが目の前にあらわれました。
クリスマスツリーは今まで少女が見てきたどれよりも大きく、テーブルの上には少女がみたことのないようなご馳走がならべられていました。
少女が手をのばそうとすると、マッチの火は消え、目の前にあったクリスマスツリーもご馳走も消えてしまいました。
消えるとき、クリスマスツリーの光は高く高く空に上っていき光のひとつが流れ星となり流れていきました。
少女は可愛がってくれた祖母が「流れ星は誰かの命が消えようとしている象徴なのだ」と言った事を思いだした。
そして、次のマッチに火をつけると、今度は亡くなったはずのおばあさんがあらわれました。
「おばぁちゃん!」
マッチの火が消えるとおばあさん幻影も消えてしまうことを恐れた少女は自分の持っているマッチ全てに火をつけました。
すると、おばあさんは明るく、大きくなり少女を自分の手の中に抱き抱えました。
「おばぁちゃん、私もおばぁちゃんのところに連れていって!」
少女はおばあさんに泣きながら言いましたが、おばあさんは小さく首をふりました。
「なんで!もう私を一人にしないで!もうつらいことはいやなの!」
少女は泣き叫びました。
すると、おばあさんはゆっくりと話し始めました。
「お前はまだ生きているじゃないか。世界にはまだまだお前の知らない幸せな事がたくさんあるんだよ。いつまでも辛い事ばかりを見つけるんじゃなく、もっと幸せを見つけれるようになっておくれ。」
おばあさんはとても優しい笑顔でそう言うと消えてしまいました。
そして、少女はまた一人になってしまいました。
しかし、少女の顔に少しあかりがさしてきたように思えました。
その後少女は、小さな幸せを少しずつ見つけていき幸せに暮らしましたとさ。
あなたの目がもう少し
ほんのちょっとだけでも
よく見えますように
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