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「お疲れ様です」 「リウちゃんお疲れー。どんなお客だった?」 黒塗りの大型車の後部座席に乗り込み、この業界に入ってから自然に口にするようになった労いの言葉を口にすると、送迎のお兄さんが鏡越しににっこりと笑いかけてくれた。 お兄さんの名前はコウ。歳は20代後半、脱色して茶色くなった長い髪をオールバックにして一つに縛っている。顔立ちは元ホストだったからけっこう綺麗なカンジで、コロコロと変わる表情が魅力的な人だ。格好はいつも黒のスーツ。……送迎なのに。 「んー……良い人でしたよ? ちょっと顔が近かったけど。あ、また次も指名して下さるって」 「お、良かったじゃん! リウちゃん、事務所に戻ったら清算するからね。事務所に着くまで寝てていいよ」 「ありがとうございます。ハァ……じゃあ、ちょっと寝ます…」 コウさんの心遣いに感謝しながら、座席に横になって腕で顔を覆う。 今日は休憩がなかったから、ちょっと体キツかったんだ……
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