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敵の爪が右腕にかすり、服が破れるッ――
攻撃は肌には届いていない、瞬時にHPを確認するが、ダメージはくらってないようだった。
「すごっ――!このゲーム、戦闘、楽しいな――!」
魔物の伸びる両腕を右へ飛び退き、かろうじてさけつつ、大西に話しかける。
と、そこで魔物の鬼の様な顔が開き、そこから僕にむかって針がとんでくる――!思わず目をつぶる・・・金属音!
目の前に剣士の職業を選んだ大西が、剣を構え針をはじいていた。
「楽しくない。なんか戦闘しんどいし」
意地でもオンラインゲームを認めないつもりらしいが、彼の口の端がつりあがっているのを僕は見逃さなかった。
現在、僕らはチュートリアルの最後、『実戦』の講習を受けている。
これの内容が、今目の前にいる異常に両腕の長い鬼を倒す、といったものだ。
「いい作戦がある」
と、僕は大西にささやく。
「何それ。早速策士きどりか?厨ニ病乙」
あほらし、という顔をしている。
ちょっと恥ずかしくなる。
「うっさいなぁ。いいからやってみようぜ」
「はいはい」
次の瞬間――、大西が地を蹴る。
魔物と距離をつめようとするが、敵の長い両腕がそれをはばむ!
右腕が大西の足をつらぬこうとするが、彼は宙に舞い、回避――が、こんどは左腕が迫る!
なんとかそれを剣でふせぐものの、致命的な程に大西はバランスを崩してしまった。
追い討ちに敵の右腕が伸びる――・・・
――その様子を僕は魔物の背後から見ていた。
今が狙い目。僕は魔物の首筋に短剣を叩き込む――!急所に攻撃をくらい、一撃で魔物は崩れ去った。
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