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何が合ったのかまだ分からなかったが
父や母の重苦しい雰囲気で
事態は深刻であることは感じとれた。
だから私は何も言わず仕度をし、
父と母の待つ車へと急いだのだった。
思い出すことは、その日5月晴れで
雲一つない空から見下ろす月と星が
もうすっかり闇に包まれた辺りを
照らしていたことだろう。
そして、その日の月は下限の月。
そんなことまで覚えているのも
車内での会話はほとんどなく、
視線をずっと窓の外へと
向けていたからであった。
車内にラジオも音楽も鳴らない、
そんな車は私と私の両親を乗せて
ただ国道を真っ直ぐ進んだ。
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