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国道はいつ見ても車の行き来が激しい。
時刻は7時ちょっとすぎで、
仕事帰りか、おそらく帰宅中なのだろう、
そんな車でごった返していた。
信号待ちなど、その賑やかさが
逆に車内の沈黙を一層引き立てた。
そんな時、父は少し苛立ちを表し、
バンドルを握っている右手の人差し指だけを立て
コツコツと爪でハンドルを叩き、
母は相変わらず何も考えていないように
ただ、ボーと車のボンネットの辺りを
ずっと眺めていた。
ここまで両親を重苦しくさせる
今、姉がいる場所とは。
目的地は知らされていなかったが
最悪の予想は出来ていた。
ただ信じたくなくて
そんなはずはないと思いたかったのだ。
だが、私の期待を裏切るかのように
車は私の最悪な予想へと
近づいていったのである。
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