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朱理に再会するその日の朝。
俺、小原裕人(おはら ひろと)は
とある高校で教育実習が決まり、
実習初日の職員室に少し緊張して担当の先生が来るのを待っていた。
すると
「小原先生。おまたせしました。教室行きましょうか。」
少し老いた、けれどもすんだやさしそうな声が俺の耳に聞こえてきた。
声の主の方を振り返ると、そこには白髪がまざった五十台前半ぐらいの男性が、にこにこと、こちらを見ていた。
「佐竹先生ですか?」
俺は教育実習中に自分の世話をしてくれるはずの担当の先生の名前を呼んだ。
「はい」
そう、答えた佐竹先生の暖かい笑顔にただ少し緊張がほぐれたような気がした。
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