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「だがミズキ、覚えておけ」
ニヤニヤと笑うヴォリアは、その笑みを崩さぬままミズキに告げる。
「お前を生かすも殺すも俺次第だ。あまり俺の気分を害すような真似はするなよ?」
そう、現王の息子であるヴォリアが彼女を殺せと部下に命じれば、ヴァンパイア達は喜んで彼女を殺しにかかるだろう。いくら彼女が凄腕のハンターであっても勝ち目はない。
しかし、その程度の脅しに動じるような女ではない。
「悪いけど、人の顔色を伺って動くのは嫌いなの。私は私。どこにいようとそれは変わらない」
この強い意志こそが彼女の大きな力であり、魅力なのだ。
「ましてやヴァンパイアに従う気なんて更々ない」
魔力を封じられても、武器を奪われても、強い意志だけは揺らがない。
「言ったでしょう? 私の望みはヴァンパイアの滅亡だと」
ミズキは弾のない銃の先をヴォリアに向ける。
「殺したければ殺せばいい。けれど、貴方が私を殺す前に、私が貴方を殺すわ」
「……は! は、ははははは!! 話せば話す程面白い女だ!」
声を上げて笑い出すヴォリアを、ミズキは銃をしまいながら冷めた目で見る。
「俺を殺すか、それもいい余興だ。お前が俺に堕ちるのが先か、俺がお前に殺されるのが先か、見ものだな」
険しい表情の側近二人とは違い、ヴォリアは心底楽しそうに笑う。
「ミズキ・リリアス、この城の者を代表して改めて歓迎しよう。ようこそ、ヴァンパイアのアジトへ。せいぜい、短い命を楽しんでくれ」
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