スイッチ

杉×森

「別れて正解なんじゃない？」

「…うーん」

そうだろうとは思う。でも頭で分かっていてもなかなか割り切れるもんじゃなかった。

「…絶対また浮気するね！そういうオンナいるもん！
ま、寂しくなったら薬局行って…」

「だからティッシュじゃねえから！なに気に入ってんだよ！」

「いい調子だね。会った時より随分元気そうだ！」

「…まあな」

気をつかわれてんなあ。コイツだって辛いはずなのに。

そう思うと少し悪い気がしてきた。

「なあ、来週も週末ヒマか？」

「ヒマ！デートしてくれんの？」

素朴に不思議だ。

コイツのルックスと性格なら、彼氏作るのなんてチャンネル変える位の労力で済みそうなのに。

「ああ。なんか奢ってやる。借りは作らない。」

「はいはい…律儀な森野くんが何奢ってくれるのか楽しみ～」

「…なんでスネてんだよ？」

「『借り』、返す為に誘っただけなんでしょ？」

「ダメか？」

「たりめーだハゲ！嘘でもいいから！こういう時は…」

「…愛してるんだ」

「ホントに嘘ついてどーすんだっ！真面目にやれっ！」

「どうしたいんだよっ！？いいから来週な！分かったな！」

「ばーか！ハーゲ！ケビン・ベーコン！」

「ケビン・ベーコンに謝れえええっ！！」

こんな感じで
来週会う事になった。

ちなみにハゲてはいない。