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「先生、次の患者さんは初診の方ですので」
「分かった。呼んでくれ」
ここは兎心症専門の小さな病院
僕はそこで医師として働いている
「こんにちは」
「…こんにちは」
女の子が僕の前の椅子に座った
「えっと…君は先天性の兎心症みたいだね」
兎心症
孤独を感じると死が訪れるという病気だ
これには稀に先天性と呼ばれる生まれつきのものがある
この患者はその珍しい内の一人だった
とは言え、僕も初めてというわけではない
「えっと…竹村さんは高校生かな?」
「…はい」
「どう?学校は楽しい?」
「…まぁまぁ」
僕は彼女からなるべく色々な話を聞き出そうとする
この病院を頼らなければならないほどになるには何か理由があるはず
僕は少しずつ彼女の心に入り込む
「ねぇ、先生…」
「ん?なんだい」
するとこうして向こうから返事が来る
彼女も少しずつ心を開いてくれているのだろう
「先生は何で、私の話を聞いてくれてるの?」
しかし、今回ばかりはそううまくいったわけではなかったようだった
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