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「…ないよ。少なくとも僕は聞いたことがない」
「そう。じゃあやっぱり死ぬしかないのね」
兎心症はその個人個人が孤独だと感じた時に症状が表れる
こちらがどう思っていようと相手の気持ち次第でその声は届かなくなる
「君は17歳だよね?」
「そうですけど?」
「君はいつ頃からその考え…つまり一人で生きようとしたんだい?」
「三年ぐらい前です。だから私には本当の友達なんて一人もいないんです」
「三年かぁ…もし本当なら君、とっくに死んでるよ?」
「どういう意味ですか?」
「兎心症は孤独だと感じたら、早い人で一日もしないうちに死が訪れる奇病なんだ。でも君は生きている」
「でも何度も息苦しくなったり…それこそ病院に運ばれもしましたよ!」
「そうだね。僕も何度も息苦しくなったことがあるよ。もちろん、兎心症じゃあない」
彼女は不思議そうに僕を見つめる
「人ってのは不意に孤独を感じるものなんだ。しかしそれは永遠じゃない。それは君が一番分かっているはずだ」
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