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いつもと変わらない朝だった。
「じゃあ、行って来ます。」
圭子は、いつもと変わらない笑顔で送り出した。
ドアを閉めるまでいつまでも手を振っていた。
いつもと同じはずの朝だった。
「行ってらっしゃい」という言葉がなかった事が何だか気になった。
聞こえなかっただけかも知れない。
しかし、柏木は軽い焦燥感を覚えた。
仕事が終わって、家に帰ると圭子の姿はなかった。
テーブルの上に置いてあったメモ用紙には「ありがとう」と書かれていた。
柏木は、急に胸が熱くつまって来るのを感じた。
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