晒された公然の秘密

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ハヤテは(あら)らかに動揺(どうよう)していた。 空気を()むように、口をぱくぱくと動かす。 言い返したいことがありすぎる様子。 だから逆に、何も言えなくなっている。 そんな状態に見えた。 ミオには分からなかった。 なぜ彼女は、そんなにも取り(みだ)しているのか。 ヒカルという男は、目つきはすこぶる悪い。 けれど、容姿(ようし)自体(じたい)はすこぶる良い。 (あい)()もすこぶる悪いが、内面は悪くはない。 高身長で高収入で、容姿のレベルも標準以上。 そんな相手から、好きだと言われたのだ。 (よろこ)ばない女性は少ないはずである。 しかしハヤテは、喜ぶどころではない様子で なぜか(おこ)っているようだった。 顔を真っ青にさえしていた。 「付き合ってられん!仕事に戻る!」 ハヤテが、そう言い(はな)つ。 さっさと(ひる)休憩(きゅうけい)を切り上げて行ってしまう。
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