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「な、なんか…ごめんね…」
なぜ謝るのか自分でもわからない。
だがミオは、とりあえず謝った。
すると、背後から返ってきた。
思いがけない言葉。
「いや、全然。むしろ礼を言いたいぐらいだ」
「え…?」
どういう事かと振り返る。
そこには、目つきは悪いが顔立ちは良い男が、じつに嬉しそうに笑む姿があった。
「きっかけをくれた。サンキューな」
きっかけ。
ミオは心の中で、その言葉を呟いてみる。
――――きっかけ…。
なぜだろう。
開けてはいけない箱の蓋。
それを開けてしまったかのような。
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