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そんな彼の顔を見ているだけでも胸が詰まる。
だからミオは、口を閉じた。
これ以上は掘り下げるのをやめようと思った。
それなのに、ヒカルのほうが続けた。
「お前はたまにそうやって言外の声を聞くよな」
「え?」
「そういうところ、ちょっと似てる」
「似てるって…誰に?」
「ハヤテさんに」
「えぇ?!私が?ハヤテさんに?!」
「ああ。なんとなく」
そう言われ、ミオは嬉しかった。
ハヤテに憧れていたからだ。
こういう人間になりたい。
ハヤテを見て、常々そう思っていた。
彼女が放つ、独特な雰囲気が好きだった。
少女のような面立ちのハヤテ。
だけれど醸し出す空気は、少年のそれ。
それも、変声期前の少年を想わせる印象。
両生類のような謎めきさえ漂わせている彼女。
そんなハヤテに、ミオは惹かれていた。
だから、ヒカルが惑わせられるのも理解できた。
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