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「…そんなに好きなの?」
つい口からこぼれた。
ミオはすぐに後悔する。
10年ちかくも片思いをしているのだ。
浅い思いでないことぐらい明白である。
問われたヒカルは口を閉じ、窓の外を見た。
ガラス越しに見える青く澄んだ空。
それに視線を置き、そして、微笑む。
彼はゆっくりと言葉を紡いだ。
「俺にとってハヤテさんは、空みたいなものなんだ。確かにそこに居るのに、手が届かない。移ろう空模様みたいに日々顔を変えて、俺を振り回したりするしな。そして空は、振り回している自覚がない」
「振り回す?どっちかというとハヤテさんって、振り回されるほうじゃない?リナとか他のパリピ系スタッフたちに、よく手を焼いてるじゃない」
ミオがそう言えば、ヒカルが笑う。
しかし彼は首を振った。
まぁそうだけど、そういう事ではない、と。
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