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本当に悔しそうにする彼女に苦笑する。
「ありがと。ルーがわかってくれてたらそれでいいよ」
「まぁ!もったいなきお言葉」
クスクスと二人で笑っていると
オホン、と後ろから大きな咳払い。
「ドルシェ様っ!」
メイドの子は急に慌てだす。
そんな彼女がかわいくて笑っていると、軽く睨まれる。
「姫様、あなたもですよ」
「はーい」
「伸ばさない!」
「はいはい」
「返事は…「一回でよろしい、でしょ?」
「わかっていらっしゃるなら、実行してください」
「ん、気が向いたらね」
ドルシェの周りになんかメラメラしたものが見えたけど、見えないフリをする。
「ひ、姫様、もうそれくらいになさってください。あとで私たちにとばっちりがくるんですから」
と、ルーが耳もとで囁いて、さぁ準備が整いました、と続ける。
アルトがかかった声が妙に心地いい。
気は進まないけど、新しい宝石がちりばめられたドレスに身をつつむ。
私の瞳と同じ色のドレス。
「きれいね」
「えぇ!とてもお綺麗ですよ、姫様」
「いや、私じゃなくて!」
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