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僕は間合いの離れてしまった魔王の元へ走りだす。
『………彼のものを闇に捕らえよ。
サクレドダーカー!』
一足早く彼の詠唱が終わる。
と、頭上の空間から闇の柱が落ちてきた。
『守壁』
次々に落ちてくるそれらを魔法で防ぎつつ落下の合間を縫って、
距離をつめる。
魔法の切れ間に魔王見えて
「終わりだ!」
術を使ったあとで
無防備になっていた魔王の懐目掛けて飛び込む。
剣が身体に触れそうになる瞬間。
素早く魔王が剣を構えた。
弾き飛ばされるか
けど、そのとき
魔王は…彼は
ただほほ笑んで
剣を下ろした。
嫌だ、いやだ、イヤダ
止まれ、止まってくれ
僕の願いも虚しく、僕の剣は、
魔王の身体を
彼の身体を
貫いた
「どうして」
呟いた僕に
「それが…世界の希望だから…だよ」
彼が無理矢理、剣を引き抜く。
血が舞う
魔王が、『彼』が
その場にゆっくり倒れていった。
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