勇者と魔王

5/5
前へ
/14ページ
次へ
僕は間合いの離れてしまった魔王の元へ走りだす。 『………彼のものを闇に捕らえよ。  サクレドダーカー!』 一足早く彼の詠唱が終わる。 と、頭上の空間から闇の柱が落ちてきた。 『守壁』 次々に落ちてくるそれらを魔法で防ぎつつ落下の合間を縫って、 距離をつめる。 魔法の切れ間に魔王見えて 「終わりだ!」 術を使ったあとで 無防備になっていた魔王の懐目掛けて飛び込む。 剣が身体に触れそうになる瞬間。 素早く魔王が剣を構えた。 弾き飛ばされるか けど、そのとき 魔王は…彼は ただほほ笑んで 剣を下ろした。 嫌だ、いやだ、イヤダ 止まれ、止まってくれ 僕の願いも虚しく、僕の剣は、 魔王の身体を 彼の身体を  貫いた 「どうして」 呟いた僕に 「それが…世界の希望だから…だよ」 彼が無理矢理、剣を引き抜く。 血が舞う 魔王が、『彼』が その場にゆっくり倒れていった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加