第一章

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それから一ヶ月経ちいよいよ達浪士組出発の日が来た。 空は雲一つ無い晴天で季節の割りに暖かい日だった。 「大石さーん!!挨拶に来ましたよ!!」 そう言い沖田は手をブンブン振りながら大石に駆け寄った。 今日は京都へ出発する最後の日。 彦五郎宅には近藤や沖田達以外にも試衛館から仲間も来ていた。 「沖田君、近藤さんと土方さんをよろしく頼むな。」 「はい!!けど大石さん…本当に一緒に行かないんだね、淋しいですよ…。」 「俺は忙しいの!!それに半年位で帰ってくるんだろ?京土産待ってるからな。」 そう言い沖田の頭をポンポンと叩き幼い頃から見知った沖田を送り出した。 「えへへ…じゃあ私、彦五郎さん達にも挨拶してきますね!!」 嬉しそうに笑うと沖田は元気良く駆け出して行った。 大石はふと少し離れた所にいるノブを見ると土方と二人で姉弟話に華を咲かせている。 以前はよく彦五郎の家に入り浸っていた土方も最近では市ケ谷にある試衛館で過ごしており最近は暫く顔を見なかった。 大石に気付いたのかノブとの話を止め土方はこちらに向かってきた。 「元気だったか鍬次郎!!姉貴と彦五郎さんの事よろしく頼むな。」 「分かってるって。土方さんも京都に着いたらおのぶさん達に手紙書くんだぞ?」 「分かってるって!!…姉貴はともかく彦五郎さんが煩くてなぁ。」 土方は冗談っぽくニカッと笑った。 「二人共心配してるんだよ…土方さんお元気で!!」 「ああ、鍬次郎こそ元気でな!!」 そう言って土方は大石に一礼し近藤達の元へ歩き出し、そして故郷であった日野を去って行った。 文久三年二月七日の事だった―…
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