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あの日からもう一週間が立つ。でも、まだ彼の意識は戻らないらしい。誰も私を責めたりしないけど、そのことがつらい。これならいっそ思いっきり責めてくれた方がずっと楽だっただろう。あの日、あのときからずっと私の時計は止まったまま・・・。私は未だに心の檻から出られないでいる。お母さんや弟がよく様子を見に来てくれているみたいだけど、もう・・・よく分からない。私はきっとこのままここで朽ちていくんだろう。そう、思うようになっていた。
「お姉ちゃん!アル兄ちゃん気がついたって!!」
「えっ!」
おもわずドアの方を振り返ると、私と同じ紅い髪の男の子が嬉しそうに近づいてきた。
「アル兄ちゃんに会いに行こうよ!」
弟が私を引っ張って行こうとする。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「そうよシータ、お姉ちゃんはまずお風呂に入って、ちゃんとした服を着て、何か食べないと、こんな格好のまま外に出たらいい笑いものになりますよ。」
ドアのところを見ると、いつの間にかお母さんが立っていた。確かに最近は、トイレのとき以外は外に出ていなかったから、髪はぼさぼさだし、服も汗のニオイが染み付いてしまっている。でも、そうじゃなくって・・・。
「お母さんの言う通りだね。ちゃんと準備しなくっちゃ!ほら、お姉ちゃん、早く!」
「で、でも、私がアルをあんな目に合わせたのに・・・。」
(アルが大怪我をしたのは私のせいなのに、そんなに簡単に会いに行けるわけが・・・。)
「もしかして、まだ気にしてるの?」
「だってお母さん、アルは一週間も眠ったままだったんだよ?」
「そんなに気にしなくても大丈夫よ。アルも、彼のお母さんもあなたに会いに来てほしいって言ってるのよ?だから何も気にすることはないの、誰もあなたが悪いなんて思ってないわ。さ、下に行って準備しましょ!」
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