再会

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
    その後 言われるままにしているうちに 気がついたらアルの病室の前まで来ていた (どうしよ?  言われるままに来ちゃったけ ど  どんな顔して入ればいいんだ ろう?  どんな風に声をかけたらいい んだろう?  や、やっぱりやめよう  今ならまだ戻れる・・・って !) 「きゃっ!」 弟に思いっきり背中を押された私は 思わず一歩踏み入っていた 部屋の中には アルと彼のお母さん そして知らない女の子がいて アルと彼のお母さんは 私たちを見てにっこりと笑った そして なぜかそのときにはもう 女の子の姿はなかった 「えっ!?あれ?」 (黒い服を着た女の子がいたと 思ったんだけど  見間違いだったのかな?) 「ん?どうかしたのか?」 アルが怪訝そうな顔で聞いてきた 「えっ!? いや、あっと・・・ その・・・ 久し・・・じゃなくて えっと・・・ だから・・・ ゴメンナサイ!!」 「もういいのよ ファイちゃん 気にしないで 誰もあなたを責めてなんていない だからあなたが自分を責める必要なんてないの」 「そうだよファイ そんなに自分を責めなくていいんだって」 そう言って おばさんも アルも 優しく微笑んでくれた       「ごめん ごめんね 本当にゴメン!」 「だからもういいって」 アルのその言葉を聞いたとたん 急に涙が溢れて来て止まらなくなった アルは 私が泣き止むまでずっと 背中をさすり続けてくれた 結局 ほとんど話さないうちに帰る時間になってしまった 「じゃあな」 「気をつけてね」 2人の声を背にうけながら 私たちは病室を後にした 「アル兄ちゃん 思ってたよりも元気そうだったね」 「そうだね」 病院を出た私たちは 家に向かってゆっくりと歩いていた さっきまで出ていた夕陽も沈み 今はやわらかい月の光が 私たちを包み込んでいた 「ねぇ、今日の晩御飯は何かな?」 弟は楽しみで仕方ないようだ 「シチューにするってお母さん言ってたよ?」 「えっ!?ホント?」 弟は私の言葉に目を輝かせた 「うん」 「じゃあ、早く帰ろ!」 シチューが大好きな弟は 本当に嬉しそうに走り出した よほど早く食べたいのだろう 弟の姿がどんどん小さくなっていく 「お姉ちゃん! 早くしないと僕が全部食べちゃうよ?」 「ちょっと待ってよ!」 弟は本当に全部食べかねないので 私も走って帰ることにした    
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!