『はぴすと』

21/21
前へ
/21ページ
次へ
     翌日、私のもとにテレビ局のインタビューがやってきた。  ニュースの見出しは『人気ケータイ小説作家自殺、女子高生のリアルさとは……!』というものだった。最近流行のケータイ小説。そのケータイ小説の作者が、しかも実体験を売りにしていたケータイ小説の作者が自殺したとなれば、世間としてはなかなか興味深いものなのかもしれない。 「――友達として、ミナさんはどんな方でしたか?」  インタビュアーは私に率直に、そう聞いてきた。恐らく、学校で他の生徒に私が藤垣美奈の友達だということを知ったのと思う。インタビュアーは、そんな口ぶりだった。でも、私はその質問には口を閉ざして、何も答えなかった。藤垣美奈のことは、もうできれば口にはしたくなかった。 「――では、ミナさんがケータイ小説を書いていたことはご存知でしたか?」  その質問に対しては、頷いた。すると、即座にインタビュアーは次の質問を私に投げかけて来た。 「――ミナさんのことを、あなたはどう思っていましたか?」  私は、最後に精一杯の、それらしい顔を作って―― 「大好きでした」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加