『はぴすと』

――『ひとつのシンジツの愛』　三位――

　トップスリー。『天使の本棚』では、トップページにランキング上位三作品の名前が立ち並ぶ。そこに、私の『はぴすと』と美奈の『ひとつのシンジツの愛』が同列に並んでいる。正直、不愉快で、そのうえ怖かった。地道に、私の恋愛を応援してくれた人たちによる投票で、ランキングトップまで来た私と、お金目的 で自作自演という卑怯な手段でランキングを上昇してきた美奈。それが、腹に立つ。その上に、このまま勢いで抜かれてしまうんじゃないだろうかという不安が、心の中で蔓延する。数値の上では、二位と一位の間の差は大きい。もし、『ひとつのシンジツの愛』が二位となったとしても、一位には届かない。大丈夫。大丈夫、大丈 夫。自分に言い聞かせる。そうしないと、いてもたっても居られなかった。
　そんな不安になっている私に、彼は優しくしてくれた。
　どんなことが起こって、どんなことが不安になっているのか、そんなことは彼に話せるわけがない。でも、彼は黙って私を抱きしめてくれた。私を安心させようとしてくれた。私は、それが嬉しくて泣きそうだった。
　彼を好きになれてよかった。
　彼と付き合えてよかった。
　彼と、ずっと一緒にいたい。