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――『ひとつのシンジツの愛』 二位――
ついに、来た。まさか、ここまで迫ってくるとは、思っていなかった。美奈は「楽勝じゃん!」とか言いながら、結局ランキングに全く入らないような、そんな感じであきらめると思っていた。でも、まさか卑怯な手段でランキングに無理やり入ってくるなんて、ね。まったく考えていなかった。こうなるなんて、想像 もしてなかった。
でも、一位にはならない。私の『はぴすと』の人気は、美奈の無理やり作られている人気に敗北するわけがない。そんなことがあっていいわけがない。
私は、私のハッピーエンドを迎える。
でも、何もできない現実もあった。私は美奈みたいに頑張れば人気が出るといった感じではない。何より、私の作品は完結している。だから、どうしようもない。私は美奈みたいに、自分に自分で投票するなんてことはしない。だから、私からやることは一切ない。
でも、大丈夫。
「私は、幸せになる」
彼からのメールを見て、表情を微かに緩ませる。
こんな日常が、本当に日常になって、そして、私は彼と――結ばれる。
『はぴすと』には直接結婚といった単語は書かなかった。でも、人生を共にするといったような文は書いた。だって、そうしたいから。彼が生きていく、これからの道。その道を歩く彼の隣にいるのは、私でありたい。私が、彼を支えてあげたい。ずっと。
それが、私にとって、最高の生きる道。
――それは、突然だった。
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