第三章

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夫:「…」 しばらく考えると夫はフィリアを見てから呟いた。 夫:「まさか…父上か?」 フィリアは頭を振った。 フィリア:「…ルベリア様よ」 夫:「!!」 ルベリアの名前を聞いた瞬間、夫の顔は歪んだ。 夫:「あんのクソジジィが!!」 < ドカッ > 夫は悪そうな顔で叫び、机を叩いた。コホンとマリアナは咳をした。 マリアナ:「あなた、地が出てるわよ」 夫:「お、おお…あの爺が…ディアを」 彼は元の顔に戻り真剣な眼差しになった。それから二人はフィリアを見た。 夫:「フィリアちゃん、今のディアが反抗期なのは分かっているが…娘の護衛をしてもらいたい」 フィリア:「はい」 マリアナ:「あの様子では、一緒に眠る事は無理なの」 フィリア:「ということは…いつからディア様はお一人で?」 二人は顔を見合わせた。 マリアナ:「…一週間かな?」 フィリアは彼等の視線が泳いでるのを見逃さなかった。 フィリア:「夜の警護はどうなっているのですか」 夫:「その件は扉の近くに警備担当者を配備しているよ」 しばらく夜のことをフィリアは二人と話し合った。それから、夜になった。 < … > < Zzz… > 屋敷中が眠りに包まれていた。しん…と空間の中であちこちにいびきが聞こえてきていた。フィリアはその中を気配を消してからディアの部屋へと進んだ。 フィリア:「…」 しばらく進むと、進行方向前方に警備担当者達の気配を感知した。 < すっ > ディアの部屋の周りには部屋が少なかった。その中でも近くにある部屋は空き部屋になっていた。その事を知っていたフィリアはその部屋に忍び込んだ。 < カチャ…キィ… > フィリア:「…」 その部屋の中は真っ暗だった。彼女は暗闇の中でも目が利いた。そこはディア専用の衣装部屋だった。衣装の他にはバルコニーがあった。 < カチャ > フィリアはバルコニーの方に出ると隣の部屋を見た。 フィリア:「…」 隣のバルコニーとの距離を目だけで計った。手摺りに足を掛けてトンッと軽く蹴った。
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