第三章

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そこは、庭へと続く裏庭があった。近くに誰か居るような気配はしなかった。彼女がディアの部屋を出る時に、他の侵入者が来た時のために罠を仕掛けてきたのでディアの事は安心していた。彼を担ぐフィリアは急ぎ足で自分の訓練所へと向かった。 < 訓練所 > そこは怖いくらいに音もなく、しん…としていた。此処は訓練するぐらいに造られた場所だったので、近くには人が眠る場所がない。彼女は止まる事なく、訓練所のある部屋へと向かった。 < キィ… > < とすん > 部屋に入ると電気を点けてから、彼を置いた。その部屋には何もなかった。此処は、警備担当達が上官から「個人指導」を受ける部屋だった。フィリアはここに入るのは初めてだった。よく見るとあちこちに血の跡が残っていた。彼女はここで起こっている事は大胆予測出来た。 拷問器具がないだけでも、屋敷の規定には背いてはいなかった。フィリアはこんな部屋があることを主人が知らないだろうと思った。彼女は侵入者だった彼を寝かせた。 < ゴソゴソ > < …パチン > 腰に吊していたナイフを取り出して侵入者の装備を切り離した。まず、剣などの武器を全て外した。武器は剣、ナイフだった。ナイフは身体中に仕込まれていた。次に取り掛かったのは、誰がこの侵入者を送り込んだかだった。フィリアは大体の見込みがついていたが、先入観を捨てて一から向き合った。 フィリア:「…」 < すっ > < カチャカチャ… > 彼女は彼の正体を掴むために、基礎中の基礎、侵入者の服を全て剥ぎ取った。フィリアは顔色を変えずに身に纏ったものを剥ぐと、物色し始めた。 フィリア:「!…この紋章は…」 フィリアは持ち物からある家門が付いたナイフを数本発見した。それはごく最近、見たものだった。彼女はマリアナとその夫が顔色を変えた意味を全て理解した。 フィリア:「これは…レクサス様(夫)の家門の紋章…」 < 翌朝 > 警備担当者:「うわぁっ!」 庭を警備していると裸体の男が端の方に倒れていた。近くに侵入用のロープがあった為、変質者として処理された。それ以降、庭の警備が厳しくなった。 フィリアは翌朝、侵入者の持ち物を持ってマリアナとレクサスの元に向かった。
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