第四章

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マリアナ:「可愛いわぁ」 フィリア:「…近いです」 マリアナは至近距離で彼女を見つめていた。見ていたのはドレスではなく、化粧具合だった。フィリアから少し離れて顎に触れながら言った。 マリアナ:「お化粧すると…お母様にそっくりだわ」 フィリア:「ありがとうございます」 フィリアは彼女に母親の話を聞くと心が温かくなるので好きだった。 フィリア:「ところで…私に用事だったのではないですか?」 < にっこり > マリアナは自室に入らずに、来賓を招く部屋に入った。フィリアは不審に思わなかった。彼女が防音を重視した部屋にフィリアを迎え入れるという事は、それだけ重要な内容だということだった。 < 来賓部屋 > 二人はソファーに座ると少し遅れてレクサスも入ってきた。 < ストン > レクサス:「フィリアちゃん、わざわざ来てもらってすまないね」 フィリア:「いいえ、私は必要な時に御呼び立て下さって結構です」 二人は顔を見合わせて苦笑していた。 マリアナ:「ありがとうフィリア。私が貴女を呼んだのは、ある人を迎えに行ってほしいのよ」 フィリアはマリアナを見た。 マリアナ:「…私が三年前に一年間、この屋敷を空けていたのを覚えてるかしら…」 フィリアは頷いた。三年前はディアが母親の姿が見えなかったので世話が大変だったのを覚えていた。その事があってか、ディアはフィリアにいっそう懐いたのだった。 フィリア:「三年前の件がどうされました?」 マリアナは声のトーンを下げた。 < ぎゅ > レクサスがマリアナの手を握った。 < ふぅ… > 彼女はゆっくりと深呼吸をした。 マリアナ:「…驚かないで、落ち着いて聞いてね…」 フィリア:「はい」 マリアナ:「実は…ディアには弟がいるの」 フィリア:「………、それが何か…?」 マリアナ/レクサス:「え?」 二人は唖然としていた。フィリアは別に驚くこともなく普通だった。彼女よりも二人の方が驚いていた。 レクサス:「…フィリアちゃん…知っていたのか?」 ゆっくりとフィリアは頷いた。 フィリア:「…私はこれでもディア様を守る身です。周囲の情報を収集することは大切な事です」 .
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