第六章

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男:「あ、フィリアさん!」 < スッ > 彼女は男を見た。 フィリア:「…もう来ないでって言ってるでしょう、ニール」 ニールは暇な時を見計らい、訓練時間になるとこの広場に来ていたのだった。フィリアはいつも彼を突き放していた。彼女の雰囲気をよんだ警備員達がニールを追っ払っていた。その時に、彼が危ないときにはフィリアがこのように止めに入っていた。 ニール:「俺はただ…此処で君を見ているだけだよ」 フィリア:「…それが迷惑なのよ…分からない?」 ニールは頭を掻いた。 ニール:「…分かりたくない」 < ふっ > 彼女は目を伏せて静かに言った。 フィリア:「…私は貴方の気持ちには答えられないの」 ニール:「…っ!!!」 その声はニールにだけ聞き取る事が出来た。彼は悲しんでいなかった。 ニール:「分かってるよ…でも、俺は…」 ニールは最後まで言わず、その場を去った。フィリアは訓練所から離れ、ディアの許に行った。 ディアは勉強部屋を後にしてネグレクトの部屋に居た。 < コンコン…カチャ > ディア:「フィー!」 < にっこり > フィリアは彼女の顔を見るとホッとした。ディアの前にはネグレクトが居た。二人はソファーに座り、テーブルで何かを話し合って書き込んでいる様子が伺えた。ネグレクトはそれをフィリアに不審がられないように、ごく自然な動きで隠した。 フィリア:「…今度はどんな悪戯(いたずら)を企てているのですか?」 姉弟:「…」 あっさりと見抜かれた二人は笑ってごまかした。フィリアはため息を吐くとディアの隣に腰掛けた。それからネグレクトに言った。 フィリア:「…ネグレクト様、貴方の世話係を私の近くに寄らせないでって言いましたよね?」 ネグレクトはため息を吐いた。 ネグレクト:「僕にはもうどうすることも出来ないよ」 フィリア:「…」 < スッ > 姉弟:「!!!!?」 彼女は左腰に忍ばせるようにして隠していたナイフを取り出した。それを見た二人は目を見開いていた。 フィリア:「…主人の言うことを守れない使用人は、この屋敷にはいりませんね…」 フィリアはナイフを自分の前に構えた。 < ビクッ > 彼女の眼差しに怖じけづいたネグレクトは身を縮めていたが、ディアは自分の血が騒ぐのに心を弾ませていた。 ディア:「かっこいい…」 ネグレクト:「あ、姉上…」 < ぐぃ > 彼はいつの間にかディアの隣にいて、彼女の腕を掴んでいた。
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