第六章

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< ガチャ > 姉弟:「!!」 そこに話題の人物がタイミング悪く現れてしまった。 ネグレクト:「ニール!」 ニール:「…ぇ?」 < すこーん…トトトト… > フィリア:「…」 ネグレクトが叫ぶと目にも留まらぬ早さで、何処からか取り出したナイフをニールに投げ付けた。そのナイフはニールの形をかたどるように、綺麗な曲線が廊下の壁に出来ていた。彼には傷一つ付いていなかった。 ニール:「っー…」 ニールは一気に汗を放出した。 侍女:「きゃあああっ」 警備員:「うわぁぁぁっ」 ニールの代わりに、廊下で現状を見た侍女や警備員が叫んだ。 < ぺたん > 彼は脱力して床に膝を付いた。 その後、悲鳴を聞き付けたマリアナ達と警備員達がネグレクトの部屋に駆け付け、状況をフィリアに聞いていた。 フィリア:「ノックをせずに入って来たので、対処をしたまでです」 マリアナ達はそれを信じるしかなかった。 < ぱくぱく > ネグレクトは必死に何かを言おうとしたが声が出なかった。ディアは瞳を輝かせたまま、ソファーに座り込んでいた。 ニールはというと、その日から二週間…寝込み、ナイフの恐怖な悪夢にうなされた。その間、自分に彼が近づかない期間は心置きなく、警備員を扱(しご)き、ディアと戯(たわむ)れたのだった。 その日から三ヶ月後、マリアナとレクサスはフィリアとディアを書斎に呼び出した。 < カチャ > フィリア:「失礼します」 彼女が扉を開け、ディアを先に通した。 ディア:「お母様、お父様…お話ってなぁに?」 < コホン > レクサスが咳ばらいをした。それからマリアナを盗み見た。彼女は頷くだけで何も言わなかった。彼は意を決めて口を開いた。 レクサス:「ディア…落ち着いて聞いてほしい…」 ディア:「うん」 レクサス:「お前は今年でもう…十歳を迎えた」 ディア:「そうだね」 彼女は相槌を毎回入れた。 レクサス:「…お母様の家では、十歳で相手を決めて、十二歳になるまでに婚約をしなければならないんだ」 ディア:「?」 フィリア:「!!!」 ディアは首を傾げたが、フィリアの顔色が変わった。 ディア:「え…それって…」 彼女はフィリアを見た。フィリアは唇を噛み締めていた。
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