第六章

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フィリアは目を伏せるようにディアを見つめ返した。 フィリア:「…貴女にレクサス様のようなパートナーを選ぶということです」 ディアはレクサスを見た。 ディア:「お父様…?」 フィリア:「結婚相手を決めるのです」 ディア:「結婚…相手?」 ディアにはまだ早過ぎる話だった。一生懸命に理解しようとした。しかし、ピンと来なかった。 フィリア:「…ずっと一緒に居る方を決めるということですよ」 ディアはフィリアをじっと見つめた。それからギュッと彼女の両腕を掴んだ。 ディア:「フィーが私の結婚相手じゃいけないの?!」 マリアナとレクサスは眉間に皺を軽く寄せていた。マリアナは口に手を当ててため息を吐いた。 マリアナ:「本当に…私もフィリアが貴女のパートナーだったら良かったのに」 レクサス:「ディア」 < ぴくっ > 彼女はレクサスに名前を呼ばれてフィリアにしがみついた。レクサスは彼女が怯えた姿を見て肩を落とした。 レクサス:「こればかりはお前が望むように出来ないんだ…分かってくれ」 最初、威圧的に話していたレクサスは最後になると懇願するような口調になっていた。ディアはフィリアを見上げた。彼女は優しくディアを抱きしめていた。 ディア:「…結婚しても…フィーとはずっと一緒に居れるんだよね?」 フィリア:「っ!」 フィリアは目を大きくした。それから大きく頷いた。 フィリア:「はい。私は貴女だけの世話係ですから」 ディアは満面の笑みだった。彼女はフィリアの胸に額を宛てて力無く笑った。 ディア:「…お母様より、フィーが居なくなっちゃった方が凄く怖くて辛いよ…」 < クシャ > フィリアは優しく、優しく彼女の頭をゆっくりと撫でた。 フィリア:「私はディア様やマリアナ様が居なくなると胸が張り裂けそうです」 ディア:「フィー…」 < ギュッ…ぎゅうう~ > フィリア:「!」 フィリアは目を丸くした。瞳を潤ませたディアが彼女に力強く抱き着いたかと思うと、フィリアの背後から彼女に負けじと強くマリアナが抱きしめた。 フィリア:「ま、マリアナ様…?」 マリアナ:「フィリア~!」 .
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