第七章

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< コクン > 少年は頷いた。にへらと微笑んでいた。 少年:「そうだよ。ここはボクの家」 < ニッコリ > フィリアに微笑みかける彼は不審人物の彼女を全く恐れてはなかった。それを見たフィリアはいつもと違う対応をした。 フィリア:「私はフィリア…君は?」 少年:「ゲンテル・マイルド。…フィリアさんは父上のお客人?」 フィリアは微笑んだ。 フィリア:「…えぇ。お父様はいるかしら?」 ゲンテルは彼女を屋敷に連れていった。 フィリア:「!」 屋敷の内部は外見と違い、内装は豪華だった。ゲンテルは彼女を父親のもとに連れていった。 ゲンテル:「父上、フィリアさんだよ」 フィリアを紹介するゲンテルは彼女の偽りを見抜いていた。しかし、そんなことはフィリアにとってどうでもいいことだった。何故なら当初から彼から感じた雰囲気で彼女の意は決まった。 < すっ > フィリアはゲンテルの父親の前にひざまづいた。二人は目を丸くしていた。 ゲンテル:「フィリアさん?!」 フィリア:「…ゲンテル氏を我が主、ディア様の婿殿になってくださいませんか?」 フィリアの申し出にゲンテル以上に父親が目を丸くしていた。父親は手を口に当てて今にも倒れそうだった。 ゲンテル:「えっと…ボクが…婿?」 父親:「な…貴女は…まさか、マリアナ様の…」 フィリアは頷いた。 フィリア:「はい。私はマリアナ様とレクサス様に頼まれて…調査をしていました。結果、ゲンテル様がディア様にお似合いと判断致しました」 父親はゲンテルを見ていた。彼は父親を見た。それからゲンテルはフィリアを見ていた。 ゲンテル:「ボクは婿入りするよ。この家は兄様が継ぐ予定だし、マリアナ様といえば…名家だから」 < グィ > < ギュ > 父親はゲンテルを抱きしめた。彼を離した父親はフィリアに向き合った。 父親:「…婿入りの話は興味深い。だが…もう少し考えてみたい。息子はまだ十歳だ」 ゲンテル:「父上?!ボクはもう子供じゃ…」 < ぽん > < ふるふる > フィリアはゲンテルの肩に手を置いた。彼が振り向くと彼女は頭を振った。 フィリア:「君は何故そんなに焦っているの?父上は貴方の事を考え、正しい結論を出そうとしているのに」 ゲンテル:「!!」 ゲンテルは息を呑んだ。
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