第九章

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侍女達:「いやぁぁぁっ」 数日後…屋敷中にショッキングな話題が蔓延(はびこ)った。彼等の嘆きが響き、それはどちらかというと侍女達の割合が断然多かった。 < ダダダダッ > < 訓練所 > < ドカッバキッ > < キィンカキン > < キィンキィン > その噂が流れてもフィリアはいつもと変わらない態度で警備員達を扱(しご)いていた。彼等は彼女のおかげで誰にも負けることのない自信に満ち溢れていた。フィリアは屋敷の警備員を割き、ゲンテルの実家に派遣していた。彼女いわく、「用心にこしたことはない」父親はフィリアに何ともいえない感謝でいっぱいだった。 屋敷中で話題にあがっているのは、「ニールに縁談が来た」だった。警備員達はフィリアの様子を伺う人もいたが顔色から感情は見えなかった。 < サクッ > フィリアは訓練を終えてディアの許に行く途中に渦中の人物に会った。 ニール:「…あ…」 周りには誰も居なかった。それはディア達が企てたものではなかった。 フィリア:「おめでとう、ニール。うまくいくと良いわね」 ニール:「…フィリア…本当にそんな事を思っているのかい…?」 フィリア:「そうよ。私は貴方とは長い付き合いだもの」 ニールはフィリアを呼び捨てにまで間を縮めたが、それ以降縮まることはなかった。 ニール:「…フィリア」 < グッ > 彼は掌を握りしめた。苦しそうな表情で彼女を見つめていた。彼女は無表情だったので感情が読めなかった。 フィリア:「…新しい恋でも見つける方が貴方の為でも良いのよ。せっかくの今の身分を拭いにしたらもったいないわ」 ニール:「!」 < スカッ > フィリア:「…」 ニールは耐え兼ねてフィリアの腕を掴み、引き寄せて抱きしめようとした。しかし、彼女は彼の行動をよみ、身を引いた。やり場のないその手は悔しそうに空を切った。 ニール:「俺には分かる…君は俺に気があるだろう…?」 フィリア:「…何を言ってるの?私は…」 ニールは諦めずに、今度は先程よりも素早く彼女に詰め寄った。すると、喉元に冷たいものが当たる感触がした。 < ズィッ > ニール:「!」 < スッ…ぴたっ > フィリア:「…」 彼は喉元にナイフを当てられていても、彼女を見つめていた。
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