第九章

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彼の左手は彼女の右腕を掴んでいた。 < にっこり > ニールは喉元にナイフを当てられたままで頬笑んでいた。 ニール:「俺はこのまま君に命を絶たれた方が何よりも幸せな気がするよ」 フィリア:「…ネグレクト様が黙ってはいないでしょう」 ニール:「ふふ…君は何かしら此処の屋敷の方達を話に持ち出すよね。俺は君だけの事を知りたいよ」 フィリア:「…」 < ぐっ > フィリアの眉間に力がこもった。彼女は彼の眼差しに身体中から拒否反応が起こっていた。 < スッ…たんっ > < バシィッ > フィリアは掴まれている右腕を外側に倒しながら捻り外した。それから身を一瞬で低くし、地面を蹴りニールの首筋に膝蹴りを食らわせた。 ニール:「!!!、がはっ…な…」 < ドサッ > 急所に入った彼は完璧に気絶していた。遠くに飛び、着地したニールを彼女は歪んだ眼差しで見つめていた。 フィリア:「…私は貴方が大嫌い。身の毛が立つわ」 ニールが発見されたのはそれから二時間後だった。何事かと思い、一時は騒がしくなった。しかしそれは的確な攻撃だったので犯人は直ぐに特定出来た。 それからというものニールが訓練所に姿を見せる事がなかったかと思いきや、彼は通いつめた。ニールの気配が分かるとフィリアは警備員をばったばったと弾き飛ばしていた。 警備員達:「うぅ…」 その日は警備員達にとって災難だった。 マリアナ:「フィリア!」 < バシッ > 明らかに荒んでいるフィリアを見兼ねたマリアナが彼女を呼出して頬を思いきり叩いた。それは部屋から廊下にまで音が響いた。フィリアは横に向いたままで動じることはなかった。彼女はマリアナを見た。 マリアナ:「どうしたというの?貴女が部下に手荒な真似をするのは「らしく」ないわ」 フィリア:「…「らしく」とはどういう事でしょうか」 マリアナ:「ディアに向ける優しい心を持った貴女よ」 < フッ > フィリアは冷めた笑みで彼女を見た。 マリアナ:「その顔は止めて!」 .
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