第九章

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マリアナはその場に座り込んだ。 < ばーん! > 叫び声を聞いたレクサスが慌て入って来てマリアナに駆け寄った。 レクサス:「…何があった…フィリアちゃん?」 立ち尽くすフィリアを見たレクサスは怪訝な眼差しをした。 フィリア:「わかりません」 < すっ > レクサス:「!」 レクサスの腕の中に抱かれたマリアナは彼の腕に手を置きながら言った。 マリアナ:「ごめんなさい…少し昔の事を思い出して…」 レクサスは彼女を支えながら立ち上がった。マリアナを寝室に連れていこうとしてフィリアに背を向けた。部屋から出る前に足を留めてフィリアに言った。 レクサス:「…私情を仕事場に持ち込むなとは言わないが…少しは自分の気持ちに正直になれ」 その声はフィリアを咎めるモノではなく、優しく導くようなモノだった。その日、彼女はレクサスから休みが与えられ、部屋に篭ることにした。 < フィリアの部屋 > フィリア:「…」 彼女はベッドに横になっているかと思うと、窓際まで行き外を眺めた。彼女の脳裏にはレクサスの言葉がぐるぐると回っていた。 フィリア:「(自分の気持ち…か)」 よくよく考えて見ると彼女は使命感からの行動がほとんどだという事に気付いた。頭が考えに追い付いていかない彼女は視線を空から地面に落とした。 < サアァァァ… > そこには草花に水を撒(ま)くニールの姿があった。 フィリア:「(あんな草花にまで…)」 < ふっ > 後ろ姿を見たフィリアの表情はスッと柔らかいものに変わった。フィリアは自分に気のある異性はとことん追い払ったが、どんな事をしてもニールだけは離れなかった。 < チクッ > ニール:「イテテ…」 フィリア:「!!」 水撒きを終えた彼は邪魔な草を抜き始めた。すると、刺があった花に触れてしまい瞬時に手を離した。 < ばーん! > < ヒュー… > < すたとん > < スッ > それを見たフィリアは勝手に身体が動いていた。窓を開け放ち、窓枠に脚を引っ掛けて階から飛び降りた。それから音も無く着地し、ニールの手を取って血がぷくっと出ていたものに唇が触れた。空から彼女が降ってきたのにも驚いたが、その行動に驚いた。
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