第一章

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フィリア:「心配は要らないわ。もうすぐしたら、ディア様は此処に到着するわ」 ?:「ふぃー」 全員:「!?」 するとその時だった。出入口から可愛らしい声が辺りに聞こえた。 侍女①:「ディア様?!」 ディア:「ふぃー、えへへ。みぃーつけたー!」 < スッ > フィリアはその場に両膝を付き、両手を広げた。 ディア:「!」 < にっこり > するとそれを見たディアは満面の笑みで、フィリアに向かって駆け出した。 ディア:「ふぃー!」 < たたたっ…ぎゅーっ > < ぽんぽん > ディアは力いっぱいフィリアを抱きしめた。彼女はディアを抱き上げると侍女を伴(ともな)って部屋に戻った。 フィリア:「ディア様、勝手に部屋を出たらダメですよ」 ディア:「起きたら…ふぃーがいなかった…だから」 < にっこり > フィリアはディアと居るときだけ、滅多に見せない笑顔を見せた。彼女は自然とその表情になっていた。 < さら… > 優しく彼女の頭を撫でた。 フィリア:「そうでしたか…ですが、私の居ない時に外へ出るのは危ないですよ」 ディア:「うん、わかった」 このやり取りを始めて、数週間。ディアがフィリアを捜す習慣が出来てから約束を守ることがなかった。彼女は約束を守らないディアを叱る事はなく、あえて目的が分かっていたので動くことはなかった。しかし、侍女達はそうもいかなかった。今でも屋敷の中では侍女達がディアを求めて駆けていた。 < マリアナの仕事部屋 > 三人はマリアナの元に行った。 マリアナ:「ディア!」 ディア:「おかあさま?」 マリアナはディアに駆け寄り、優しく抱き込んだ。彼女はきょとんとしていた。 マリアナ:「流石ね、フィリア」 フィリア:「いえ…私がディア様の元を離れたのがいけなかったのです」 マリアナは頭を振った。 マリアナ:「いいえ…貴女は四六時中、ディアに付き添う事が出来ないのは存じてるわ」 フィリア:「私が訓練するのは全て、ディア様の為。今ではこの屋敷で右に出る者も居なくなりました」 フィリアはじっとマリアナを見ていた。image=174249841.jpg
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