第十章

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ニール:「~♪♪」 翌日、想いが実りをみせたニールは鼻唄混じりに歩いていた。行き交う人々は怪訝な表情で彼を振り向いて見つめていた。 < カツッカツッカツッ > 廊下に居た警備員と侍女達は彼の正面からフィリアがやってくるのを見て、顔色を変えた。 < ぱあぁぁぁっ > ニールは満面の笑みでフィリアに手を掲げて駆け寄るように向き合った。 フィリア:「…はぁ…」 フィリアは呆れ顔で彼を迎えた。 フィリア:「何よ…その腑抜けた顔は」 ニール:「え?!腑抜け!?…幸せな顔って言ってほしいよ」 あんぐりと口を開けあのフィリアがニールを優しく迎えていたからだ。 < ドカッバシィッ > < パンッパンッ > そこにいた彼等は目の前の光景が信じられず、近くの同僚どうし叩(はた)きあった。 フィリア:「うふふ…」 ニール:「あはは」 二人が並んで歩くその姿はありえない光景だった。夢ではない事がわかった彼等は、見たことを噂として広げた。 < ドドドドドッ > < バーン! > < がばっ > 噂を聞き付けたディアとマリアナは彼女の部屋に飛び込んで来て抱きしめた。 フィリアは普段と変わらず、二人の隙を見抜き縄抜けの要素で抜け出した。二人が気付く頃にはフィリアは部屋から消え去っていた。 ディア:「あっ!逃げたっ」 マリアナ:「まぁっ…追うのよ!」 < バタン、ドドドドドッ… > フィリア:「はぁ…」 二人が居なくなるのを見届けた彼女は天井から姿を現した。ため息混じりに腕組みをした。 フィリア:「…予測はしていたけど…ややこしいわね」 < ドドドドドッ > < バタバタバタ > 屋敷中、ディアとマリアナはフィリアを捜すために走り回った。 レクサス:「何をしているんだ?」 楽しそうにしていた娘と妻を見ていた彼がたまらず声をかけた。事情を聞くとレクサスの瞳の輝きを変えた。 レクサス:「よっしゃー!」 主が楽しそうにしていたのを見た配下達は加わりたかったが、痛い目にあいたくなかったので情報提供に回った。
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